『男と女』

2010年12月17日 映画
『男と女』
 ゴマンと、と言うか、500万を越えるくらいいるだろうが、

70年をはさむ数年間に大学生であった世代。

 世の中を悪くした元凶といわれている世代で、なっしーにもその1/500万の責任はある。

 あの東大で入試が無かった年。入試が行われないということがありうるんだ、いうことが見えてしまった。

 しかも最高の権威を持っていたと思われていた大学で。

 ありえないと考えられていたことが一度起こってしまうと、

もう大学と言う制度そのもの、権威への信頼、そして恐らく一見堅固に見える『制度』そのもの、制度一般への信頼が根幹から崩れる。

 その後のあらゆる戦後社会の制度的崩壊の引き金になった、というより最初のひび割れ、表面化だったろう。

 その年に大学に入学した。

 それ以降、大学に限らず、物事が全て相対化されて評価されるようになってしまった。

『でなければならない』という権威が崩れ、でなければならない基準が無くなったからだ。

 その入学した大学で、ブラジル帰りの一人の友人に出会った。

 アメリカンポップスが好きで、いややっぱりビートルズかな、などと素朴に思い、

星条旗に憧れ、トリコロールに憧れていた田舎育ちの純朴な大学生が、

そのブラジル帰りの友人に、見に行こうと誘われて見に行ったのが、この『男と女』だ。

 そこで、サンバと言う音楽があり、そのサンバと言う音楽を生み出している社会構造があるんだ、と言うことを知った。

 いや、逆だ。

 ちょっと聞くと耳にとても心地良いサンバという音楽があるんだ。だけど、それはとてもとても深く悲しい心地良さなんだよ、と聞かされた上で、見に行った。

 映画を見に行ったのではない、おそらく。サンバを聴きに、いや聴かされに行ったんだと思う。

 『男と女』はこの一回しか見ていないのに、

今回見直して、ほとんど全部のシーンが先回りして思い出される。

 そのくらい印象が鮮明だ。

 この映画そのものがなっしーの人生に大きな意味を与えたとは思えない。

 ただ、この映画を見に行ったことが、その後の人生を変えてしまったのではないか、と思われる。

 世界の見え方、人やものの見え方が変わった。そんな映画。

 もう、40年経ったんだ。

 あっという間だった。ほんとうに。


※ 挿入歌(サンバ)のタイトルが思い出せないのが残念…。誰か教えてください。
※※ それにしてもアヌーク・エメきれいですね。あのトランティニアンの影がとっても薄いもの。
これは是非ドーヴィルにも行かなくっちゃ(ついでにシェルブールにも。ついでなんて言うとドヌーブに叱られちゃうが)。

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