フランスにいた時にマルセイユの近くに住んでいたので、OM(Olympique de Marseille =マルセイユサッカーチーム)の試合を見たいとフランス人の友人に持ちかけたら、

お前は一体何を考えているんだ。

勝っても負けても街は大騒乱、大混乱で、石や物が飛んでくる、

特に負けると店が壊される、車はひっくり返され、火をつけられるんだぞ、

と止められた。

試合があった次の日、マルセイユの街に行くと、

確かに生々しいその爪痕が目に飛び込んで来たことが何度かあった。

ああ、これがフランス社会のもう一つの実態なんだ。

パリモードだけの社会じゃないんだと思ったものだ。

今回の浦和事件。あの横断幕をテレビで見た。

いや、確かに酷い。

J リーグの処分は言うまでもない。

が、と言ってあのサポーター(どうやら札付きらしい)を弁護する気は毛頭無いが、

ああいう形でしか自らのアイデンティティを確認するしかない社会構造になって来ている、

少なくともそうなりつつある。

アホのミクスに象徴される、所謂成長戦略。

高度経済成長時代に、国民全部が(ではないにしても多くの国民が)、

なんらかの形で、国の、国民全体の経済発展を共に享受出来ていた牧歌的時代と異なって、

ここ10年くらい前から始まっている現象、

すなわち、成長の成果が極く一部の人だけに集中し、

単に階層間格差が拡がるという通り一遍の言葉では言い表せない程のスピードと広がりで、

階層間の断絶が進行している。

一度どこかの階層に入ったら、そこから落ちることはあっても上がって行くことはほとんど無い。

何とも言えない閉塞的な格差断絶社会の進行、深化。

諦め始めている人達が数多く作り出されつつあるに違い無い。

あのサポーターの横断幕を弁護する気は毛頭無いが、

あの横断幕の裏に進行している大きな社会の崩壊現象には目を向ける必要があるのではないか?

と言っても何か処方箋を提示出来る備えはもちろん無い。

大学でも、嘗ては、殆どが正規職員で、若干のアルバイトで営まれていたのが、

少数の正規職員に、派遣、パート、長期、短期アルバイトと誰がどんな雇用形態で働いているのか分からないほど複雑な職員構成。

地位、待遇の格差が貫徹される社会になって来ている、牧歌的な大学でも。

もちろん例えば任期制教員などと教員間の格差も大きく拡がっている。

分かるのは昔からいる職員、昔からいる少数のアルバイト、パートタイマーで、

今では、これが誰で、何をしていて、この人にこの仕事を頼んで良いんだろうか、

と思うことも少なくない(誰に頼んでも向こうでうまく処理してくれるんだが)。

牧歌的な大学でもこの状態なのだから、世間では管理職だけが正社員で、

あとはパートタイマー、いや、ひょっとしたら、管理職もパートタイマーと言った状況かもしれない。

そうやって大きな地位=収入格差が、さらに断絶が拡がって行く。

どうすれば良いんだろうか?

ひょっとして、急速な、雪崩をうって進行している人口減少がいつの間にかこれを解決してくれるのかも知れないが、

今、単純に思うのは、ただただ、子、孫の時代の世の中が恐ろしいことだろう、ということだ。

自分は天国で安らかに過ごしているだろうけど。

いや、そうは問屋が卸さずに、地獄でのたうち回っているかもしれないのだが。

でも、それでも近い将来の日本社会よりまだマシかも知れ無い。

コメント

yasai
2014年3月24日21:46

同感です 欧米化を目指して 進歩と思っていた 我々の ツケを 息子や孫が

nassie
2014年3月24日22:57

長男は、俺たちにはアメリカとかフランスとかにな〜んも憧れとかコンプレックスなんか無いよ。ジャパンアズno1だよと言ってのけます。これもこれでちょっと、とは思いますが。ただ、フランスで小学校を経験して、全部言わないと通じないと言うのが面倒で仕方無かったそうです。以心伝心は言葉の民には無いのかもしれませんね。

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