修羅場
 ひとつずれちゃうと、ちゃんとボタンを掛けているのに、

どのボタンも収まるべきところに収まらない。 

 そんなことなら、むしろ掛けない方が良いくらいだ。

 浪人して予備校に通っていた時、

それは、朝、駅の改札を出ると、

駅前の交番の壁に煤がいっぱいと言う時
 同じ予備校に通っていた連中も、受験しようとした大学の入試が中止になったりして、

あそこでボタンの賭け違いが起こってしまった人生を送った人も多かったに違いない。

 予備校の友人と言うのは、仲間であり、敵であるという微妙な関係の所為か、

仲良かった人も結構いたんだが、

その後ずっと付き合うといった友人は結局できなかった。

 そうして迎えた受験で、

なっしー氏は、不本意入学、退学、再入学とかなりの回り道をしたのだが、

再入学したあたりから、風向きが変わったのか、

漠然と憧れていた研究者への道に、いつの間にかレールが敷かれ、

たいした気概も努力も無くそれに乗っかっているうちに、

なんとなく無事これ塞翁が馬。

 そのレールも終着駅に向かっている。
 
もちろん自分の能力から言っても、

一流の研究者になれる、なったと言うわけではないし、

一途な学問の徒というほどの意識も矜持もないし、

サラリーマン研究者として、可もなく不可もない人生だったなあ、

とシミジミ思う今日この頃だ。

 その今日この頃、定年になったら(あと数年はあるのだが)いったい何をしようか、

つい、ふと頭をめぐらせることも多い。

 やはりシルクロードかなとシルクロード関連の本を読み、ガイドブックを開き、

手回しが良すぎるかも知れないが、

全タイムゾーンに対応している時計も買った。

 もちろんどこに行っても大丈夫なように、

ずっと以前からコンパスも持っている

(おまけに、以前使っていた腕時計はコンパス一体型だったし)。

 後はチケットと歩き出す勇気だけだが、

列車で行くにしても生涯最長、最大、最高の、

そして恐らく最後の大旅行になることだろう。

 ま、そこで財産を使い尽くして、あとは家と土地を処分して

(子に美田を残す気は毛頭ない。もちろん美田でもないが) 、

倹しく、平坦、平凡な毎日を過ごすことになる、

そんなことを思いつつ毎日を送っている。

 が、一転して、まさにここから、

波乱万丈、疾風怒濤の修羅場を迎えるようなことになっているかも(^ ^ )。


コメント

yasai
2014年1月24日8:05

天平の甍 と 敦煌 でしたね 憧れました

nassie
2014年1月24日12:59

ご近所に井上靖のお供をずっとなさっていた毎日の記者の方がいらっしゃいます。かみさん同士がものすごく仲良かったのですが、先方の奥さんの方が、うちのカミさんより2年ほど先に亡くなられました(ほぼ同年代。ご主人は少し上ですが)。お宅の前を通るとふとシルクロードの話を聞きたいと思ってしまいます。

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