初めての留学の前に通っていて、

帰国後、頼まれて暫くアルバイトでフランス語を教えていたフランス語学校から電話がかかって来た。

 ちょっと面白い教材が出来たので試してみて、

良かったら推薦して、と言う電話だ。

 試して見たところ、初級者からそれなりのレベルの学習者まで使える教材で確かに面白い。

 基本的には動詞の活用を学ばせるもので、

良く使われそうな文を、

現在、過去、未来、直接法から接続法までの語尾変化を練習するように仕組まれている。

 これ、自分で使っちゃおう!

 最初の留学から帰って、

子供たちのフランス語が消えて仕舞わないようにとここに通わせていた。

 家の中ではフランス語で生活していた。

 夏休み前に、有名な目黒のトンカツ屋で、

アメリカ人がちょっとトーンの高い英語でしゃべっているのを聞いて、

長女がボソッとフランス語で言った。

 私、アメリカ人大嫌い。

 フランス人がアメリカ人を嫌うのは有名な話だが、

 フランスで生活してみてその理由が良く分かった。

 英語とフランス語は、音域がだいぶ違う。

 英語はフランス語よりずっと音域が高く、

 フランス語に慣れた耳で聞くと英語は本当に耳障りで仕方ない。

 チェロのアンサンブルに音程のずれた下手くそなバイオリンの伴奏がつくような感じだ。

 長女の反応はまさしくフランス人の反応だった。

 夏休みが終わった頃、やはり長女が、

『お父さん。日本に帰ったんだから、日本語で話そうよ』

と言うので、確かにそうだとフランス語をやめた。

 2、3週間ほど経ったところで、バゲットを買って来て、

長女に『これ、なんだっけ?』と聞いたところ、

『フランスパーン』

と答えて、その日が我が家から完全にフランス語が消えた記念日となった。

 そのせいか、長女は大学でフランス語の再履修を繰り返し、やっとこさで専門に進むことが出来た。

 なっしーの頭からは今やフランス語だけでなく、

日本語も消えて行きそうなので、

今日貰って来た教材で頭の体操をし、

言葉が消えて仕舞わないように言葉の再履修しよう。

コメント

loving-c.
loving-c.
2013年4月18日6:14

私は学部でフランス語を履修した上、ドクター入試の第二外国語もフランス語でした。
しかし、しゃべることは苦手です。

nassie
2013年4月18日7:21

私は読むのも書くのも喋るのも聞くのも苦手ですが、人を騙すのが得意なので、分かったふりをしたり、身振り手振りで言いたい事を何とか伝えるのは得意です。相手が可哀想に思うんでしょうね。

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