小学校3年生の時のこと。

 夏休み明けに、新しく下駄箱に名札が張ってあった。

 ふけゆみ。

 ふ~ん、と思った。

 転校生が来るんだ。

 田舎の小学校で1クラス45人4クラスで約180人の小学校。

 多くが兼業農家で、その多くが造船所に勤めていると言う地方の小さな小学校だった。

 唯一都会を感じさせるのが、当時の電々公社の社宅の子供たち。

 数少ない給与所得者の子供たちだった。

 恐らくそのふけゆみさんもその転校生だろう。

 阿部とか斎藤と言った姓が並ぶ中で、

都会、少なくとも外の世界を感じさせる苗字だ。

 どんな子が来るんだろう、と楽しみに待っていた。

 が、とうとうそのふけゆみさんの下駄箱に靴が入ることはなかった。

 下駄箱に名札だけというのは喪失感、欠落感がある。、

 ただ、その欠落感はうまく理解されないだろう。

 ちょうどその頃読んだ風の又三郎の異次元の感覚が、

その現れなかったふけゆみさんに対する欠落感と重なる。

 なっしーにとっての小学校の思い出と言うか田舎の思い出はこの2つ、

ふけゆみさんと風の又三郎の2つだけ。

 故郷になどちっとも帰りたいとは思わないが、

小学校3年の夏休みに帰りたいと、

今までの50年間に、何度かふと思ったことがある。


 ※ ご本人がこの文章を読んだら腰を抜かすでしょうね。
 ひょっとしたら体重60kgのヘビー級になってたりしてね。

コメント

ミハーハハ
2013年3月21日22:34

ふけえみさん、どこでどうしてお出でやら。
私が覚えているのは、転校の挨拶をした子が、翌日転入?の挨拶をしたことです。急に引っ越しがなくなったとかで、びっくり。

フルートもステキですけど、リコーダーが姿勢が楽ですよ。左右のバランスが良いですから。それに小学校の時の才能、伸ばさなくっちゃ。

nassie
2013年3月22日2:43

実は小学校では隣の席の子が、落ちていた柿を食べて亡くなった事があります。
空いているって物凄く重いですね。
りこーだー。そうですね。一時ですが入れ込んでいたのでやってみようかな?
でも音が外に出るのはホントは恥ずかしい。田舎だとトランペットでも平気なくらいでしたが。

nassie
2013年3月22日2:46

あ、リコーダーだとアルトやりたいな。あの音素敵ですよね。

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