老後の楽しみ

　今は修学旅行が海外旅行であったり、末娘のように外国生まれも珍しく無いが、

なっしー氏の初めての海外旅行は、

82年のロンドン、パリ、ジュネーブ、フランクフルトの典型的パッケージ旅行で、

4人兄弟の長子にして兄弟最後の海外旅行未経験者の汚名を返上する旅だった。

　30万円程のパッケージ旅行だった。

　今と比べて随分高い感じだ。

　見るもの聞くもの初めてのものばかり。

　ロンドンでカレーを食べ(何で？　もっと豪勢なものを何故？？)、

ジュネーブでは怪しげではない、非常にフレンドリーな人に見えた黒人系の人に家に招待されたり(結局行かなかった)、

懐かしい。

　そもそも田舎の高校で関東に出て来た者が学年の1割(50名)いるかどうか、

外国など想像を絶する世界だった。

　それが初めての海外旅行。その高揚感は未だに忘れられ無い。

　当時は思いもよらなかったが、30年経って見ると、フランスで子供を授かり、

長女はまだ出発していないが、2度と日本には戻って来ないと思って、

と宣言されたりと大きな様変わり。

　慶応の最後から明治、大正、昭和がほぼ60年。

　それを考えると60年の人生はやはり長い。

　なっしー氏は、その人生にちょっと飽きて来ているが、この後一体何をすれば良い？

　テニスも飽きて、山歩きはやろうにもその体力気力が衰えて来た。

　何よりも子供たちが成人するまではやめてと言っていたかみさんに先立たれ、

何も苦労しに登るまでもあるまいと思うようになってしまった。

　DNって老後の楽しみにふさわしい？

　走らなくって良いし、休んでも良いし、止めても良いし。

　狭い日本。そんなに急いでどこに行く。

　でも、どっかに面白いこと転がっていないかな？

　好きなこと、カメラ、鉄道、テニス(腰痛で1年ほどお休み中)、自転車、本、旅行、そしてちょっと音楽。

　雑木(気)林のように雑然と並ぶお気に入り。

　疑似テツって言うのが一番合ってそうだ。

　頭脳派ではなくガテン系。

　おまけに徹底出来ない半端系。

　カメラを抱えてふらりと乗って回ろう、気分次第で行きたい所に。