やっと終わった。
 新盆の供養のためにお寺からお盆の供養にいらっしゃる。

 まあ、何しろ主婦がいなくなったので、家の中がしっちゃかめっちゃか、

とりわけ亡くなる前、身体の自由に大きな制約があった主婦が突然いなくなったので、

その度合いも並大抵ではない。

 しかし、和尚さんがいらっしゃるのを手をこまねいて見ているわけにはいかない。

 もちろん迎え撃つと言うのではないが、最低限形を整えなければならない。

 すべての仕事を擲つかのようにして、とりわけ比較的時間が取れる長男の嫁

(もちろん他の子供たちも時間をやりくりして手伝ってくれた)

と力を合わせての奮闘の結果、

リビング、キッチン、ダイニング、要するに義母が住まわっている和室を除いて、1階部分の大掃除が、

当日の朝(今朝のことだが)、明け方4時くらいに片付いた。

 やっと終わった。 

1週間近くの疑似戦争。

 ところで、終わってみれば、我ながら、何と良い家なんだろうと思わないわけでは無い。

 住宅展示場巡りをしていて、意気投合したセールスの方に

(私も名を知っていたある有名な文芸評論家の甥だった。メーカーからの出向で販売店でセールス担当をしていた。その後しばらくして、若くして亡くなられたと聞いた。しかも病気自体をご存じで、ずっと以前から覚悟の上だったそうだ.)、

 『お任せします。これだと言うプランをご提示ください』

と言ってこちらの条件(猫の額の土地、義母がいる事、子供は2人か3人、書斎が必要、基本は洋間、その他諸々)をこちらから出した。

 最高の工務店、腕扱きの大工を指名して当たらせます、と言うことだった。

 そして、提案してもらったプランを煮詰めて今の家が出来上がった。

 系列会社全体のコンペで最優秀賞を取ったと言うことでその後写真を撮りに来られた。

 それが、ごみの山に埋もれるようなかわいそうな仕打ちをここ数年受けていたのだが、

1階部分だけは新築当時の面影をしのばせるかのようにリフレッシュ(というよりルネッサンス?)した。

 とは言っても片づけが出来ただけなのだが。
 
 ほぼ30年経つのに、床の表面が多少すり減っていて、壁紙が少し日焼けをしているだけで、

あとは、食器戸棚のドアが少し怪しいが、少なくとも建物本体には隙間も、歪みも何もなく、

新築当時の面影がしのばれる。

 ああ、こんなに可愛い、しかもしっかり者の家だったのか、と展示場巡りをした当時のことを思い出す。

 それがつい昨日のことのようなのだが、

ただ、一緒に回った妻は、今そばにいない。

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