長い二人だけの時間
 過ぎてみればあっと言う間の2ヶ月。

 ただ2年か3年か経ったようだ。

 遠い昔の出来事のようだ。

 父親が亡くなった時の写真に、

枕もとで自分がふと微笑んでいるかのような写真が1枚あって、

なんと冷たい人間だと我ながらぞっとした覚えがある。

 子供の頃、土葬に何度も立ち合ったが、

皆が涙するのを妙に覚めた思いで眺めていたことをふと思い出す。

 火葬になって人の死がもっと軽くなったのかと思っていたが、

葬送の重さはそんなことではないことが初めて分かった。

 定年後長い長い二人だけの時間をどうやって過ごせば良いんだろう、

などと呑気に考えていた。
 
 その長いはずの二人の時間が、ぷつんと途切れてしまった。


 

 

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