台風一家

2012年6月19日 日常
 多くの人がそうではないかと思うが、

子供の頃、『台風一家』だと思っていた。

 なんだろう、と不思議に思っていたが、

いつごろまでか、結構大きくなるまでそう思っていた気がする。

 台風が来ると、家の前の川が溢れ、

門の3段ほどの石段が水に洗われる。

 川から50メートルくらい、少しのぼりになるので、石段を越えて水が押し寄せる事はなかった。

 瀬戸内の小さな集落で、

溢れるほどの水を溜める貯水池も、後背の山もないので、

どんなに雨が降っても家の中まで押し寄せてくることは無かった。

 それが残念で、何もかも流されてしまわないかと期待していたことがある。

 台風(被災)一家になってしまえと。

 何となく、家と地域社会に違和感と言うか、馴染めない居心地の悪さを感じつつ大きくなった。

 その地に生まれ、その地で育ち、その地で働き、その地で生涯を終える。

 それが嫌で、都会に出たい、いや誰も知った人のいない外国に行きたい。

 誰も知らない世界で、自分一人で切り開いた世界で生き、生活し、生涯を終えたい、

と小学生の内に考えるようになっていた。

 近所には中国、特に満州から、また南北アメリカ大陸から帰って来た人たちも暮らしていた。

 親戚がまだ外地にいると言う人も多かった。

 だれも詳しい話をしないので、その外国での暮らしぶりを聞いたことはないが、

ずいぶんと苦労されたことだろう。

 だから帰って来ている訳だし。

 ただ、そんなこと、誰も知らない世界に行きたいと思いながらも、

結局、人の輪の中で、いろんな人の助けにすがりながら、今日まで来た。

 世話になりっぱなし、誰の世話もしていない。

 輸入超過の人生だな(^^;。 

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