恵方巻き

　近所にすごく美味しいすし屋があった。

　箱根駅伝にも登場する東海道の難所にあって、

旅人に休憩用、道中用の鮨を振舞っていたそうだ。

　そこの若旦那が支店を我が家の近くに出していた。

　馴れずし、散らしずしの類のすし屋だった。

　末娘の中学受験の時に恵方巻きがそのすし屋に初めて登場した。

　いやむしろ恵方巻きというすしの存在を認識したのが初めてのことだったが、

恵方巻きはそれから２，３年で一気に広まった。

　上の３人はそれなりに受験に成功し、近所では我が家には受験の神様が棲んでいるといわれていたのだが、

この末娘は塾の成績も芳しくなく、文字通り神様に頼らざるを得なかった。

　その年の吉方は、真東ではなかったが東の方で、磁石で方角を見定め、気持ちを込めてみんなで恵方巻きをたべた。

　ただ、問屋はそう簡単には卸してくれない。

　連戦、連敗。

　ご近所の方が先生をなさっている中学も受験し、

その先生がたまたま娘の試験会場の監督に当たっていたそうだが、

娘は緊張で真っ青な顔をしていたそうだ。

　その娘も、もう大学生になっている。

　節分になるといつもこの恵方巻きを思い出す。

　
※　須磨帆のエラーで文字化けし、全面的に書き直しました^_^;(中身は99％同じもの)。

　須磨帆の所為にしているがもちろんこっちが悪い、　…　…　だろうが、納得できない。