神隠し

　時計が行方不明だ。

　次男坊が腕時計が壊れたと言うので、

愛用のprotrekを貸した。

　時計、タイマー、方位計などなど街歩き、山歩きに必要な機能が満載。

　山も街も歩き回る訳ではないが、

おもちゃがいっぱい付いているのが気に入っている。

　それを次男に貸し出した。

　そこで、これもお気に入りだが、ここしばらく(と言っても数年間)、

机の上で無為に時を刻みながら、

暇をもて余していたseiko 君(さん？　フランス語では確か女性名詞)が現役復帰を果たし、

生き生きと活動を再開した。

　そんなある朝、出掛けようとして、時計を左手に 持ってちょっとした探し物をしていた。

　何を探していたか、今となっては思い出せない。

　と言うのは、探し物の途中で、確かにどこか棚の上に、

ふと手にしていた時計を置いたのだ。

　それ以来、やっと現役復帰して、生き生き活動を再開していた、

seikoさんは、神隠しに会ったままだ。

　おまけに、なっし-はと言えば、

ショックで、探し物が何だったかも、

忘れてしまった。

※　この日記を書いたとたんに、わが時計さんは、神隠しから無事解放されて戻って来た。
　棚の上を探して出て来ないはず。
　あの寒かった日の散歩にはいて出て、暖かくなったためにその後ずっとはいてなかった、トレーナーのポケットから無事生還したのだった。