身勝手なヤツ

　出発前に、叔母の様態が悪化した。

　弟から、

『従弟から、何があってもおかしくないが、

今すぐどうこうと言うわけではないと言う矛盾した連絡が来た』

と言う連絡が来た。

　矛盾でもなんでもない。

　弟の方こそ混乱している、と思ったが、

いずれにしても出発直前で机の前を離れることができない状態だったので、

帰国してからと思って失礼した。

　その叔母への不義理のおかげか、こちら（=中国の）方は、事なきを得た。

　妹が母を連れて見舞いに行った。

　義弟（医師）が

『おかあさん(母)に、おばさんが元気なうちにぜひ話をさせておくように』
とアドヴァイスをしたそうで、

まさしく何があってもおかしくない、との判断だそうだ。

　こちらの出発の前日に、元気だったよ、と報告があった。

　母と叔母との、シュールな昔話が、楽しく、楽しく展開されたことだろう。

　うれしく思いながら出国したが、こちらに着いてすぐ悲しい知らせが届いた。

　我ながら自ら冷たい奴だ、と改めて思った。

　と同時に、あんなにかわいがってくれていたんだから、帰るまで待ってくれても良かった、

とも思ったが、

それこそが身勝手か、な？


※　母は先日見舞いに行った時の、この景色を覚えているだろうか？