『ウオッカ=コーラ(上)』(チャールズ ・レビンソン, 清水 邦男訳)
 帰国準備を始めた。

 とりあえず、本の荷造りから。

 段ボール5個くらいにはなりそうだ。

 今リンゴ箱が2つある。それぞれ20㎏は優に超えている。

 これを郵便局まで運ぶことを思うと気が滅入り、腰が萎える。

 もちろん4階(日本式には5階)から地上階まで下すのも腰痛の身にはつらい。

 すぐに使うものはどうしてもスーツケースだ。

 着るものは捨てて来いと言われている。

 それでもノートパソコン2台。スキャナー、プリンターもある。

 当面どうしても必要な本も10冊や20冊はあろう。これだけでも相当なものだ。

 ところで、気ままなフランス生活も残り3週間だ。

 帰りたくない。もう1年いたい。

 やろうと思ったらできただろうが、師匠から絶対に帰って来いよと言われて出てきている。

 いくつになっても師匠には逆らえないのがこの世界。 

 で、突然『ウオッカ=コーラ』。

 先日訪ねたベルギーの友人が

『面白いから読んでみなよ』

と、上巻しかなかったものを無理やり『プレゼント』してくれたものだ。

 ちょっと古い本だが、面白かった。確かに。

 要するにニクソン=ブレジネフ以降の東西緊張緩和が、

世界中の生産様式を如何にして根底から変化、変更させたかの分析だ。

 西側諸国の、企業と一体となった東側への長期借款によるプラントおよび生産ノウハウの提供、

このプラントを利用しての東側諸国での安価な労働力を利用しての商品生産、

生産された商品=現物による借款の返済(すなわち西側へのダンピング輸出)と言うスキームのもとで、

この『ウオッカ=コーラ』型生産様式が、労働市場をも含む西側市場を席巻して行った過程が分析されている。

 こうした生産方式は、今ではまるで当然のことのようになっている。

 現在の日本のとりわけ若者たち(に限らないが)の半奴隷的な長時間、低賃金、過密労働が、40年かけてこうやって作り出されてきたのかと、

これを読みながら、今日一日、地震、原発のショックと同じくらいどんよりした気分に陥っていた。

 根が深い。解決の道筋どころではない。まさしく泥沼だ。

 とりあえず、あした天気だけでも良くなってほしい。

 気分だけでも明るくなりたい。


 ※ 下巻(英文)がいつ読まれるか自信が無いので、とりあえず上巻しか読んでない状態でのコメントだが、アップしておく。
 訳文がなんとなくコンピューター翻訳のような感じで読みにくい。文体がいかにもフランス(翻訳)的だったので、てっきりフランス語かと思ったら、英文だったのでちょっとびっくり。


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