人生とはこんなもんだ
人生とはこんなもんだ
 ホテルの受付のお姉さんが、

「カルナックねぇ。良い所だけど…」

インターネットで検索しながら、「冬は難しそうね。車無いと、日曜だし」と言う。

 それより、お腹が少し痛い。

 これは微妙な兆候だが、我ながら小心者だと思ってしまう。

 それやこれやで、遠出を諦め、結局街の中の散歩に切り替えた。

 街の中は深閑として、教会に行く黒っぽい服の人が歩いているだけだ。

 県庁所在地でこれだから、石(メンヒル)の数より人口の方が少ないカルナックなら

(調べたところ人口4000あまり、石の方は2000あまりなので人口の勝ちでした)、

食事にもありつけなかっただろう。

 街の門(監獄門という名前だそうだ)を出て、街の城壁に沿って写真を撮りながら歩いた。

 その門は、到着後、駅から歩いてきて、道に迷って、うろうろしてしまって、

結局引き返して別の道から旧市街に入った、その引き返し地点の直ぐ先だった。

 もうちょっとの勇気で難なく街に入れたのに、人生とはこんなものだ。

 アジア人の3人連れに会った。

 結構良いカメラを持っている(ソニー。向こうもこちらのソニーを見ていた)。

 身なりも良いのでお金持ちだろう。

 こちらはカメラは良いけど、身なりも悪く、金持ちでもない。

 街を半周して門から街の中に入った。

 さて、お昼。カテドラルの近くの、観光名所になっている建物群にあるレストラン。

 ドアを押して中に入ったら12時からだという。あと30分か。

 荷物を預けて、街を歩いて12時を待った。

 plat du jour(本日の定食)を頼んだらシュークルト。 

 アルザス名物の聞きなれた響きに、思わず注文してしまった。

 注文して直ぐに、ここまで来てソーセージでもあるまいに、と一瞬後悔したが、

運ばれてきたのは、海の幸のシュークルト(choucroute de la mer)。

 海老も大小2種類、合計6、7匹。もっと入っていたかもしれない。
 
 ムール貝やなんだか分からない貝類、白身魚、などなどが、

たっぷりと大きな煮込み皿の酢漬けキャベツの上に乗っている。

 写真を撮るのも忘れて飛びついてしまった。

 味付けはホワイトソース。美味しい。久しぶりの料理らしい料理だ。本当に美味しい。

 パンも美味しかったのに、1口しか食べられなかった。大きな、硬く焼いたパン。

 好きなタイプのパンだったのに。ポケットに入れて帰ろうか、と思ったが止めた。

 小心者だ、つくづく。

 ミネラルウオーターとコーヒーをつけて17ユーロちょっと。昨日のクレープとほぼ同じ。5倍くらいの満足感。いや、もっと大きな差がありそうだ。

 昨日のクレープも悪くなかったのに、前頭筆頭が横綱にぶん投げられたような感じだ。

 デザートは訊かなかった。こんな美味しい料理を出すレストランなので、食べてみたかったが、もう、とても入らない。

 出されたものは残したことの無いなっしーが、食べ切れなくて残してしまった。

 人生とはこんなものだ、確かに。

 それにしてもいろんなことがあったブルターニュ旅行だった。

 でもカルナックには行きたい。ますます行きたくなった、むしろ。


 ※ 写真がお昼のレストラン。美味しかった。さすが県庁所在地だ。市役所と田圃と工場しかない田舎町とはちょっと違う。

コメント

yasai
2010年12月14日15:26

一人でオイシイ料理を食べると幸せになりますよね

nassie
2010年12月14日17:05

yasai先生:本当にそうですね。食べることと景色だけが楽しみですから。
朝、花を用意している時のウエートレスさんが黒いスカートに白いスケスケのチュニックだったんです。よっぽど写真を撮ろうと思ったんですが、止めました。お昼を食べに行った時は普通のパンタロンでちょっとがっかりしました。

お気に入り日記の更新

日記内を検索