『なんと言っても、あの、マダムだよ』
 1ヶ月ぶりの仲良しの掃除のおばさん。

 「ボスニアは良かった?」

と聞いたら、

「最悪。暑くて暑くて。

おまけに兄が末期がんで、見舞いに行ったんだけど、痛い痛いと言って見ていられなかった」

 お兄さんはブザンソンの病院に入院中だそうだ。

 小澤征爾の世界デビューの町だ。

 以前、ドイツからの帰りに泊まったことがあるが、こざっぱりしたきれいな街だった印象がある。

 ところで、新しい部屋だが、掃除のおばさんが

「この部屋良いでしょう?

1番広いんだよ。キッチンもきれいだし、なんと言ってもロフトの寝室だよね。

しかも、前の部屋とおんなじ値段なんだものね」

 確かに。200€位違ってもいい感じだが、なんと言っても大雑把なフランスのこと。

 値段は3段階しかない。

 部屋だけ(Kなし)、机とベッド(1K)、寝室付(1L・DK)。それぞれ、6万、7万、8万くらいだ。

ところで、
 
「受付のマダムが、『彼は部屋きれいに使ってる?』

と聞いてきたから、

『ああ。とってもきれいだよ』

と答えておいたよ。

4月までいたいんだったら、早めに予約しておかないと…。

本当はだめなはずなんだけど」

というアドバイスを貰ったので、頃合を見計らって頼んでおこう。

 フランスは人治主義の国だから、窓口が事実上一番権限を持っている(ちょっと前までの日本と同じ)。

 もちろん上からの指示も強力で、それがあれば、あっという間にひっくり返るんだが、

「なんと言っても、あの、マダムだよ。セクレタリアのね」

掃除のおばさんとなっしーの意見は一致している。

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