23:30大垣行き
 東京で貧乏学生をしていて、これは田舎の濃密な人間関係が嫌で嫌で仕方がなくって、親の反対を押して出てきた頃のことだ。

 自分ではあんまり帰りたくはかったが、学資を出して貰っているので、

時々は顔見せに帰らなければならなかった。

 当時は、みんな大変貧しい生活をしていて、

初めて23:30東京駅発大垣行夜行にお世話になったのは、

やはり当時貧乏学生をしていた高校の同級生の勧めだった。

 ミニスカートが大々的に流行りだしたころで、

今の若い女性のように、背が高く、脚が長くと言った時代ではなかったが、

東京ではスカートがグングンと短くなって行っていた(脚は大根のままだったが)、

そんな時代だ。

 朝7時頃大垣に到着し、姫路行きだか西明石行きだか(う~ん。思い出せない)に乗り換える。

 窓から漫然と外を見ていて、ふと、あることに気づいた。

 電車を待っている女子生徒のスカートの丈が長い。同時に、大根ももっと太い。

 その後も何度か大垣行きにお世話になったが、ちょうど通学時間と重なることもあって、

大垣行き(というか乗り換える前後というか)で見る女子生徒のスカートの丈が、

 長くなったり短くなったり、東京を追いかけていくのだが、ゴムにぶら下げた錘のように、少しタイムラグを持ちながら、追いかけていくことに気づいた。

 自分のことを棚に上げるが、以前はふるさとに着いたときには、浦島になったような気がしたものだ。

 田舎くさいのだ。

 東国の人と西国の人、というか、都会の人と田舎の人は、顔つきも、体つきも着ている物も持っている物も違う。

 数十年経って、今、田舎に帰っても、そんな違和感を感じない

 感度が落ちているだけなのかも知れないが(実は、娘たちがどんな服を着ているのかもよく分からない、正直なところ)。

 スカートの長さも、ファションセンスも、持っているものも、顔つきも、ヘアースタイルも、あまり東京と変わらない。

 東京で起こったことがあっという間に全国に伝播していく。
 
 ただ、この日本社会の均質化は、ひょっとして大きな活力を失うこととの取引なのではないか、とふと思う。
 
 異物を排除し、隣の人と、いや、隣の隣を通じて、全国の人と同じでありたい。

 これが「日本だけ」、「自分たちだけ」という風に向かうと、偏狭な「ミーイズム」に向かうことになりかねない。

 ちょっと心配な今日この頃ではある。

コメント

Mythril
2010年6月3日21:49


こんばんは。


大垣行快速
ムーンライト長良…

大阪行き寝台急行銀河も廃止されてしまいました。

世の中の時間の流れが早くなって、地球が小さくなって…距離が縮んで…それに比例して、個の独自性が無くなって来てます。

デジタル化の影響…かな。0と1に置き換えられないと存在し得ない世界…


nassie
2010年6月4日0:18

コメありがとうございました。

銀河も、大阪にいた伯父が危篤になった時、使った思い出があります。
ほんとぜ~んぶ無くなって行きますね。
時代の要請かな?企業も人も夢や思い出だけで生きていくことは出来ないので。
ただ、公と私をどう調整するか、難しいですね。
特にJR。

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