片付けられない症候群
 なっしーは片づけが下手

 机の上には何でもある。

 何でもあるのは確かだが、どこにあるか分からないので、

たとえば消しゴムは3個も4個も、どこかにある。

 マーカーも色によっては何本もあったり、欠けている色があったりで、しかし机の上か引き出しか、時にはかばんの中に出張したまま帰ってこないことがあるが、

確かにどこかにある、はず。

 問題はそれがどこかが分からないことだ。

 なっしーには恩師と尊敬している先生が2人いらっしゃる。そのうちのおひとりの先生の話。

 数年前に亡くなられたが、先生が亡くなられたあと、お盆か年の瀬に先生のお宅にお伺いした時、奥様がおっしゃっていたが、

 ドイツ留学中に、ドイツから電話があって、
「上から3番目の左の引き出し、奥のほうに、何々があって、
それを大学に提出して欲しい」

「また、本棚の5段目の右から10冊目くらいに何々と言ういうタイトルの本があるので、
その30ページ目から45ページ目あたりの、
切りのいいところをコピーして送ってくれ」

と言った調子で、引き出しの、どこに何があるか全部把握されていた。

で、奥様は、

「あんなに片付けばかりやっているんだから、研究なんか出来るわけないわよね」

と仰っていたが、いやいや、確かに晩年はいろいろお忙しかったので仕方が無いが、大変な研究業績である。
 
なっしーがドクターに入ってからは先生の研究室を使って勉強させていただいていたが、

あるとき、部屋に入ってこられた先生が机の前に立って、

「なんか変だな」

と仰って、机の横に行って机をちょっと持ち上げ、ほんの少し動かして、また机の前に戻り、

「うん、これで良い」

と仰って、しばらく本をお読みになって、お帰りになった。

 先生がお帰りになった後、机の脚のところを見ると、
2ミリか3ミリほど、日に焼けた部分がずれていた。

 掃除か何かで少し斜めになっていたのを、ちょうど平行になるよう戻されたわけだ。

 こんな先生が、よく残してくれた、と思うが…。

 なっしーが正反対なのは、最初に書いたとおり。

 妻も、実は昔は恩師みたいだったようだが(子供のときのお小遣い帳がまだある)、

結婚してなっしーの病気が伝染したのか、

片付けられない症候群になってしまった。

 結局やることが多くなってくると、何かを、

 これは仕事の内容も、それから仕事に付随する書類やら、人間関係やらも含めてだが、いずれ捨てなければならないのを、

全部引き受け、少しのことをやっていたときと同じように処理しようとするので、

結局おのずと破綻するわけだ。

 とりわけ仕事と家庭との両立というのは、この二つの折り合いをうまくつけられないと(当然夫の協力も)なかなか難しい。

 片付けられない症候群とは、捨てられない症候群でもある。
 
 物も人も仕事の中身も、どこか見切る必要があろう。

 いつだったか、
 
「かみさんが何にも捨てられないので家の中がしっちゃかめっちゃかで」

とある女性の先輩に話したところ、

「あ~ら、良かったじゃなぁい?」
 
「ぱっぱと捨てられる人だったら、あなたなんかとっくの昔に捨てられていたわよ」

 御意。

 仰るとおりでございます。

コメント

霧木里守≒畑楽希有(はたら句きあり)
2010年5月21日2:19

 (^^;)””

(私もかたづけられません、捨てられません……☆★)

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