ユネスコ世界遺産
 旅行の整理をしている。

 リヨンのホテルの名刺をみて、

「えっ?!」

 ユネスコ世界遺産・リヨン旧市街の中心・ルネッサンス時代の邸宅

 ホテル サン・ポール

と書いてある。

 回り階段で何度も転びそうになり、トイレ共同、ベッドの横を通るスペースが十分でないためにシャワーにまっすぐ歩いていけない、などとここでも悪口を書いたが、いや、確かに接客はすばらしい、一味違うとは思っていたが、一味違っていたわけだ。

 いや、一味違っていたのは接客ではなく建物の方で、いわば白川郷の古民家にそれと知らず泊まったようなものだ。 

 「ええっ?水洗じゃないの?」

 と言いながら。


 ただ残念なことに、まるで門外漢なので、本当に15,16世紀の建物かどうかはちょっと確認できないし(恐らくもう少し新しい?)、猫に小判なんだが確かに古いことは古かった。

 そして街全体が古かった。

 ところで、知人が予約してくれた時も、狭いけどいいか? トイレの横でうるさいけどいいか? と何度も念を押されたそうだが、やはりそれなりのホテルだったんだ。

 何しろ、荷物を抱えて入っていったら、受付で

「なっしーさんですか?」

 と聞かれたんだから。

 朝食でも部屋番号など聞かれないし、出発の時も

 向こうから

 「出発か」

 と聞かれ、部屋番号ではなく名前を確認して請求書が出てきた。

 担当者がずっと同じ人だったわけではないことに注意していただきたい。

 日本の高級ホテルやレストランなど一見客を蔑ろにして、一部の馴染み客にばかり愛想を遣いへつらうが、

 いや、ここが高級ホテルで無いからだと言われちゃうと困るが、

 100円の客も100万円の客もみんな同じ、と言うのが本来の客商売だったのではないか?

 松下幸之助翁も嘆いているに違いない。ホテル サン・ポールに見習えと。

 少なくとも日本に無くなりつつある、温かくファミリアルだがしつこくない接客で、これこそ大きな遺産であることは十分理解できる。


※ネットの予約サイトでの評価も、設備はともかく接客の評価は非常に高いようだ。

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