初雪

2010年4月26日 エッセイ
初雪
昔、すごく素敵なSさんという同級生の女性がいた

何度か一緒に映画を見たり、お酒を飲んだりした

ある女流詩人の姪で、それこそ手のひらにひらひら落ちてきた降り始めの雪のように、ちょっと触ると、いや触らなくてもとけてしまうような感性の女性だった

当時、彼女には付き合っているカレがいて、恋愛相談も受けたりしていたが

ある時、一緒に酒を飲んで駅に向かう途中

 「なっしー君。好きだよ」

 「でも、なっしー君て、私を空気みたいにしか思ってないよね」

 って言われ、街角でコートの上からちょっとだけ力をこめて抱き合ってわかれた

それが彼女と会った最後で、2人ともその前の年の3月に大学を退めていた

 なっしーは別の大学に入り直したが

 その後のSさんの消息は、まるで分からない

しばらく電話をかける勇気が無く、何週間か経ってかけたら通じなくなっていた 

 何年かに一度、ふっと思い出して会ってみたいと思う
 

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