飛行機が止まっている
2010年4月16日 エッセイ
火山の噴火でヨーロッパ全体の航空路線がマヒ状態だと日本の友人から教えられた。
宿舎のテレビが故障しており、ネットニュースも見ていなかったので、まるで何も知らなかった。
我ながら呑気なものだと思うが、日常生活に何の不便もない。
知る必要もなかった情報だ。少なくとも今日明日のなっしーの生活にとっては。
ひょっとしたら、この噴火の所為で、物価が上がるとか、失業が蔓延するとか、そんなことが起ったとしても、影響が出る頃には、もう噴火も収まっているだろう。
そして、本当にこの噴火の所為なのかかどうかもわからない物価高騰があって、噴火が責任を負わされるかもしれない。
あんなに真剣に毎日、毎日、ニュースを見、新聞を読み、雑誌を読み、家族と話し、友人と話し、学生と話し、
世界情勢が分らないと日常の、小さな変化の原因・結果も分らないぞ、などとわかった風のことをしゃべっていた自分が、
世界情勢どころか、ひょっとしたら明日ストがあってバスが止まるかもしれないことや、円が暴騰、暴落した、もしくはするかもしれないことや、
また、大災害で、家族や友人や、もちろん縁もゆかりもない人が、大勢日本で、いや日本はおろか、すぐ近くの隣国、隣町で亡くなっていることや、
そんなことが、もしあったとしてもまるで知らないで、
生活が、送られている。
少なくとも今ここでのなっしーにとっては。
知らなくてはならない情報って、では、一体何なんだろうか?
自分の仕事と、自分の生活とにかかわる、必須の情報を選りすぐって入手、吟味し、
そしてその有益、有効な情報を今日、明日、いや、将来にわたって活用して、
有意義で、幸福な毎日を送るんだ。
と、もし考える人がいたとしたら、なっしーはそんな人と付き合いたくない。
自分に必要な情報だけを切り取って、それで世界を把握しきれると思う、その精神の貧しさに耐えられない。
忘れてしまいたい事や
どうしようもない寂しさに
包まれた時に男は
酒を飲むのでしょう
飲んで 飲んで 飲まれて 飲んで
飲んで 飲みつぶれてねむるまで 飲んで
やがて男は 静かにねむるのでしょう
(酒と泪と男と女 - 河島英五)
なっしーは、酒のみではない。
去年亡くなった父は、酒を飲んでの帰り道、自転車やバイクで転んで、
ひざやひじを血で真っ赤にして
顔中を血で真っ赤にして、
帰ってくることもよくあった。
冬、玄関先で大いびきをかきながら眠っていたことも。
そんな大酒飲みの父がいやでいやで仕方がなかったが、その、そこまで飲みたかった気持ちは、今、十分に理解できると思っている。
その一生が、受け継いだ、受け継がざるを得なかった宿命、運命のいたずらに翻弄された一生だったこと。
そして、それがなっしーよりも一つ上の世代にとっては極々ふつうの事だったことも。
もちろん、女性の宿命の方がもっともっと過酷で、もっと悲しかった、
いや今でも悲しいことなのかもしれないということも、
頭の中では少なくとも理解しているつもりではあるが、
本当は自分のこととしては捉え切れていないんだということも。
宿舎のテレビが故障しており、ネットニュースも見ていなかったので、まるで何も知らなかった。
我ながら呑気なものだと思うが、日常生活に何の不便もない。
知る必要もなかった情報だ。少なくとも今日明日のなっしーの生活にとっては。
ひょっとしたら、この噴火の所為で、物価が上がるとか、失業が蔓延するとか、そんなことが起ったとしても、影響が出る頃には、もう噴火も収まっているだろう。
そして、本当にこの噴火の所為なのかかどうかもわからない物価高騰があって、噴火が責任を負わされるかもしれない。
あんなに真剣に毎日、毎日、ニュースを見、新聞を読み、雑誌を読み、家族と話し、友人と話し、学生と話し、
世界情勢が分らないと日常の、小さな変化の原因・結果も分らないぞ、などとわかった風のことをしゃべっていた自分が、
世界情勢どころか、ひょっとしたら明日ストがあってバスが止まるかもしれないことや、円が暴騰、暴落した、もしくはするかもしれないことや、
また、大災害で、家族や友人や、もちろん縁もゆかりもない人が、大勢日本で、いや日本はおろか、すぐ近くの隣国、隣町で亡くなっていることや、
そんなことが、もしあったとしてもまるで知らないで、
生活が、送られている。
少なくとも今ここでのなっしーにとっては。
知らなくてはならない情報って、では、一体何なんだろうか?
自分の仕事と、自分の生活とにかかわる、必須の情報を選りすぐって入手、吟味し、
そしてその有益、有効な情報を今日、明日、いや、将来にわたって活用して、
有意義で、幸福な毎日を送るんだ。
と、もし考える人がいたとしたら、なっしーはそんな人と付き合いたくない。
自分に必要な情報だけを切り取って、それで世界を把握しきれると思う、その精神の貧しさに耐えられない。
忘れてしまいたい事や
どうしようもない寂しさに
包まれた時に男は
酒を飲むのでしょう
飲んで 飲んで 飲まれて 飲んで
飲んで 飲みつぶれてねむるまで 飲んで
やがて男は 静かにねむるのでしょう
(酒と泪と男と女 - 河島英五)
なっしーは、酒のみではない。
去年亡くなった父は、酒を飲んでの帰り道、自転車やバイクで転んで、
ひざやひじを血で真っ赤にして
顔中を血で真っ赤にして、
帰ってくることもよくあった。
冬、玄関先で大いびきをかきながら眠っていたことも。
そんな大酒飲みの父がいやでいやで仕方がなかったが、その、そこまで飲みたかった気持ちは、今、十分に理解できると思っている。
その一生が、受け継いだ、受け継がざるを得なかった宿命、運命のいたずらに翻弄された一生だったこと。
そして、それがなっしーよりも一つ上の世代にとっては極々ふつうの事だったことも。
もちろん、女性の宿命の方がもっともっと過酷で、もっと悲しかった、
いや今でも悲しいことなのかもしれないということも、
頭の中では少なくとも理解しているつもりではあるが、
本当は自分のこととしては捉え切れていないんだということも。
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