ずり落ちても良いんだ。

　明日からは仕事で見舞いに行けないので、

今日も早めに見舞いに行って来た。

　ベッドのシーツを取り替え、ゼリーを食べ、

MRIを撮りに行くと言うので帰って来た。

　ゼリーは小さなかけらを口に入れ、顎を上向きに上げると、

ぐぐっと飲み込む感じで飲み込む。

　恐らく反射的にやっている『ぐぐっと』だろうが、

まるで意思をもってやっているように見える。

　なんか自分で飲み込んでいる見たいですね、

と看護師さんに言うと、

そう思うことにしましょうと素っ気ない。

　ただ、なっしーも『プロ』ではあるので、

嘘を言えないその気持ちは良く分かる。

　ただ、身内としては断固として、

『意思をもって飲み込んだ』と思いたい。

　医学部にいる義弟に連絡すべきかどうか迷っている。

　連絡を入れれば、彼の一声で特別待遇が得られるかも知れないと思わないわけではないが、

部屋が二人部屋になった、一人部屋になったからといって寿命が伸びるのかどうか？
　
　沈む太陽を呼び戻す事は出来ない。

　昇る太陽は雲を突き破って昇って行くものだ。

　たとえカッコ悪くずり落ちても良い。

　母が自身の力でぐぐっと昇ってくれる事を祈る。


※　今日のMRIの結果を受けてか、来週の退院が決まったそうだ。
　まだ眼を開けない、飲み込むのも流し込むような食事なのだが、
近々経口食に移行するそうだ。
　なっしー氏もその元気のお裾分けをしてもらいたい。
　が、なっしー氏は、子供の頃山道を6キロだか8キロだか歩いて通ってはいないので、
まあ、いざとなれば義母の元気のお裾分けは無理だな。